プロローグ:冬の夜に語る、大きな夢
「パパ、村上宗隆って、メジャーに行くんだって?」
12月の寒い夜、ストーブの前でホットココアを飲みながら、航太がつぶやいた。
テレビでは、速報テロップが流れていた。
『村上宗隆、ポスティング申請完了。MLB全30球団と交渉中』
父・信一は、静かにリモコンの音量を下げて言った。
「本格的に動いたな。今日はその話をしようか」
親子にとって、野球はただのスポーツではない。航太がバットを初めて握った日から、信一の中では“村上宗隆”という名が特別な存在だった。
「夢を語る夜って、やっぱいいな」
父の声がどこか、嬉しそうだった。
第1章:“本当の4番”へ──ケガと復活の物語

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「今年(2025年)、村上ってほとんど出てなかったんだよね?」
「そうだ。右肘の手術と脇腹の不調で、開幕に出遅れてさ……出場はたった56試合」
父が広げたノートには、今季のスタッツがびっしり書き込まれていた。
打率:.273 本塁打:22本 打点:47
長打率:.663 OPS:1.127 三振率:28.6%
「す、すごくない…? 22本って…」
「そう。復帰してからの爆発力は本物。143試合換算だと、なんと56本ペース」
「ヤバ……ケガしてたとは思えない」
「まさに“世界がほしがるバッター”だよ」
それに加えて、復帰初戦の3打席連続本塁打。あの試合は“伝説”と呼んでいい。
「打った瞬間、確信歩きしてたな」
「あの村上が戻ってきたって感じだった」
苦しんでいた時間を乗り越えてのこの成績。
村上くんが黙々と“戻ってくる準備”をしていた姿に、心を打たれました。
息子にも「諦めなければ、戻れる」を体現する存在です。
野球って、努力が見える瞬間がある。
親として、そんな背中を子に見せられることが本当にありがたい。
第2章:ポスティング申請──夢の扉がついに開く
「村上、もう行けるの?」
「もう“申請済み”だ」
父がスマホを見せると、ニュース記事にはこうあった。
『2025年11月7日:東京ヤクルトスワローズ、村上宗隆のポスティング申請を正式発表』
「そして今はアメリカの30球団と交渉中。12月22日までに決まる可能性が高い」
「じゃあ、今年中に決まるの…!?」
「そうだ。明日からの“ウインターミーティング”で話が一気に進む」
・申請日:2025年11月7日(金)
・交渉期限:2025年12月22日(月)
・代理人:ケーシー・クロース氏(田中将大の代理人も担当)
息子がポツリとつぶやいた。
「夢ってさ、ずっと追ってると、怖くなるときないかな」
私は一瞬黙り、そして静かに頷いた。
「あるよ。でも、村上は、その怖さも乗り越えようとしてる」
「なんでわかるの?」
「だって、“25歳ルール”を待ってまで、最高の条件で行く準備してたんだから。あの覚悟は本物だよ」
今回のポスティングは、「待っていた世界挑戦」。
満25歳、NPBの実績、代理人の顔ぶれ、すべてが揃っている。
村上宗隆という選手は、タイミングさえも自らコントロールできる冷静さを持っている。
2026年開幕メジャーリーガーの筆頭格と言える。
第3章:評価と葛藤──1億ドルを動かす男
「パパ、メジャーでどのくらいの契約になりそう?」
「レンジはあるけど、1億ドル以上になるだろうな」
父は、いくつかの報道を比較しながら説明した。
・強気予想:8年 1.8億ドル(約275億円)
・保守予想:5年 9,500万ドル(約145億円)
・共通点:吉田正尚(5年9,000万)以上の評価
「それって…日本人野手で2番目に高いってこと?」
「そう。1位はもちろん大谷翔平。でも村上は、まだ25歳。“次世代の主砲”として認められたんだ」
「ケガもあるのに…?」
「それでも獲りに来る。それが“変えのきかない才能”ってことさ」
父の声はどこか誇らしげだった。
「夢とお金と、不安と期待。全部背負ってるのが今の村上だ」
村神様の1億ドル超えのニュースに、ファンとしてただただ胸が熱くなる。
世界に挑む日本の4番。
誇りと寂しさが同時に押し寄せてきます。
だけど、彼が打席に立つだけで、海の向こうのスタジアムに“希望”が咲く。
そんな時代が、いよいよ来るんだ。
第4章:どこに行く?メジャー5球団の“村上争奪戦”
「どこの球団に行くのかな?」
父は興奮気味に話し始めた。
1. NYメッツ(◎)→一塁・DHに空きあり。長距離砲を熱望
2. ヤンキース(〇)→左打者向き球場。ブランド力も魅力
3. SFジャイアンツ(〇)→左のパワー不足。主砲候補として高評価
4. SEAマリナーズ(〇)→若手中心。将来の中核としてフィット
5. LAドジャース(△)→打線は飽和気味だが、柔軟な編成力あり
「メジャーの強豪ばっかじゃん!」
「だからこそ、彼の価値がわかるんだ。次に渡る日本人打者として、世界が注目してる」
航太は興奮して寝間着のまま素振りを始めた。
「メッツだったら、青いユニフォームか~」
「ドジャースだったら、翔平と並ぶぞ」
「やっば!ホームラン競争してほしいな…!」
どこの球団に行っても、応援するよ。だけど願わくば、航太と一緒にその“デビュー戦”をテレビの前で迎えたい。
あの一打が、我が子の夢に火をつける瞬間になるかもしれない。
そんな日を想像して、今からワクワクしてる。
エピローグ:この冬、“村神様”は世界へ飛ぶ
いよいよその時が来た。
村上宗隆。日本球界を背負ってきた“若き主砲”が、新たな舞台へと歩を進めようとしている。
脇腹、肘、スランプ──決して平坦ではなかった。
だからこそ、この挑戦には意味がある。
「パパ、メジャー行っても、応援し続けていい?」
「もちろんだ。夢を追う背中は、いつだってかっこいいんだ」
その瞬間、父は気づいた。
──この会話こそが、我が家の野球物語の新たな始まりなのだと。
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