プロローグ:身長173cmのメジャーリーガー
「ねぇパパ、吉田正尚(よしだ まさたか)って、なんであんなに打てるの?」
12月の夕食後、息子がふとつぶやいた。
テレビでは「2025年メジャー年間成績TOP10打者特集」が流れていた。
「そうだな……今日は“吉田正尚”の話をしよう」
私は、冷えたココアをひと口飲みながら語り始めた。
「173cmの体で、メジャーに挑むって、本当にすごいことなんだ」
第1章:吉田正尚が超一流と認められる理由

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「まず、打率がすごいんだよ」
父がテーブルにスマホを置き、見せてくれたのは2025年までの成績だった。
2023年:打率.289/出塁率.366/OPS.783/15本塁打
2024年:打率.295/出塁率.372/OPS.811/17本塁打
2025年:打率.301/出塁率.384/OPS.826/19本塁打(現在まで)
「えっ……毎年上がってない?」
「そう、彼は“アジャスト力”がすごいんだ。1年目で壁にぶつかっても、翌年には必ず対応してくる」
息子は目を丸くした。
「しかも、ボール球を振らない。選球眼が異常にいい」
「ふつうさ、スイング早いやつって、振り回しちゃうじゃん」
「でも、吉田は違う。ミススイングが少ないんだ」
数字を見るたびに、吉田正尚という選手が“異質”であることがわかる。
メジャーのスピードに負けず、コンパクトなスイングで的確にミートする。
この安定感は、チームにとって“計算できる男”という最大の信頼を意味する。
第2章:小さな身長と大きなプレッシャー
「パパ、でもさ、メジャーの選手ってみんなでかいよね?」
「うん、平均身長は190cm以上。でも吉田は173cm」
「それって、どうやって戦うの…?」
「答えは“技術”だよ」
父がタブレットをタップすると、バッティングの分解スロー動画が表示された。
「下半身の粘りと体幹の強さ。そして“ぶれない軸”。 あれはトレーニングの賜物だ」
「真似できるかな…」
「正直、真似は難しい。でも、“小さいからこそ工夫する”っていう姿勢は学べる」
正尚くんを見るたび、「できない理由を才能のせいにしない」姿勢を思い出します。
息子にも“身長が低くてもやれる”って、自信を持って言えるようになってほしい。
野球だけじゃない。
どんな世界でも、自分のサイズで闘うって大事だと思う。
第3章:1年目の苦悩と、乗り越えた2年目
「パパ、最初から打ててたの?」
「いや、実は1年目は苦しんでたんだ」
父は少し声を落とした。
「球速、配球、ストライクゾーン、文化……全部が違う。 打てない日もあったし、守備でも叩かれた」
「でも、やめなかったんだ」
「そう。そこがすごい。 メジャーでは“調整する力”が成功者の鍵なんだ」
「2年目には、もう普通にレギュラー?」
「打順は5番か6番が多かったけど、OPSはチームトップレベル」
「かっこいいなぁ…」
初めてメジャーのスタジアムで、吉田が一塁ベースを駆け抜けたとき。
「あ、日本人がここにいる」と心が震えた。
誰かの夢を背負ってる選手が、笑顔でヒットを打つ。 その姿は、たとえ地味でも、確実に“響く”のです。
第4章:年俸、信頼、そして背負うもの
「パパ、吉田って年俸いくらなの?」
「契約は5年9000万ドル(約130億円)」
「すごっ……」
「でもね、金額以上に評価されてるのは“安定感”と“誠実さ”だと思う」
「誠実さ?」
「うん。派手じゃないけど、誰よりも試合に出て、ミスを恐れずプレーする」
「すごい…」
「2025年もケガ少なくて、出場数は145試合超えてるんだ」
「すごすぎる。僕も見習う…」
親として、夢を語る選手が“ちゃんと働いている”姿を見せてくれるのは本当にありがたい。
正尚くんは、華やかさよりも“日々を丁寧に生きる”大切さを教えてくれる。
息子にとって、それが一番大事なことだと信じてる。
エピローグ:“努力が報われる場所”へ
吉田正尚は、特別な才能ではないかもしれない。
でも、誰よりも努力して、工夫して、誠実に野球に向き合った。
だからこそ、メジャーという世界で、3年目もヒットを重ね続けている。
「パパ、もしぼくが大きくなっても、ホームラン打てなかったら…」
「そのときは、正尚みたいにコツコツ打っていけばいい」
小さな体で世界を打ち抜く。
その背中が、また一人の少年に“夢のバトン”を渡した夜だった。


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